じっくり読む紅楼夢 第三十六回、第八回、第十七回、第十八回、第四回、
紅楼夢はじっくり読めばわかる、というかじっくり読まないとわからない。 紅楼夢をそこそこ理解して読み続けるのは大変だ。四苦八苦、苦労だけして読み進むのでは楽しみがない。<楽しみがあるように>読むには話の内容をそこそこ理解しながらじっくり読む必要がある。さいわい特に進展していくような<筋>はないので、読み進むのではなく、ある個所を切り取って読んでもこれは可能だ。じっくり、あるいは楽しみながら読むことが可能なのは、どの箇所も<意味がある>からだ。いいかげん, 杜撰(ずさん)に書かれた箇所はないと言っていい。本場の中国で<紅学>が発展しているのはこのためと言える。奥が深く、いろいろな読み方、理解の仕方があるのだ。 ここでは第三十六回をとり上げてじっくり読むことにする。なぜ第三十六回をとり上げたかと言うと、それまでの第三十五回までと何か<トーン>が違うからだ。もっとも、冒頭を含めよくわからない箇所があってだが、何度も読み返してみる必要があったので、これが<トーン>の違いになっているのかもしれない。 原文は<中國哲學書電子化計劃>(繁体字)の他、簡体字からコピー / ペイスト。 表題《繡鴛鴦夢兆絳芸軒 識分定情悟梨香院》 表題の意味は、たいてい話の内容のサマリーみたいなもので、話の内容がわかってみないとわからない。したがってここでは表題の意味にはすぐには触れない。もっとも絳芸軒と梨香院は第三十六回に出て来る場所、建物なのだが、それまでの話の中ですでに紹介済みなので、第三十六回の中での改めての紹介、解説はない。話を先取りすることになるが 絳芸軒というのは <絳 jiàng>の字はなじみがないが<紅、赤>という意味。ある意味では<絳芸軒=紅楼>と言える。<絳芸軒>が最初に出て来るのは第八回というのだが、贾宝玉のすみかの名前としては出てくるのが遅い。不可解ともいえる。作者が贾宝玉のすみかに名がないのはおかしいと思って、遅ればせながら付け足したのではないか? <絳芸軒>のWikiの解説では 賈寶玉 搬進 大觀園 之前在賈府居住的房子。初見於第八回,寶玉將自己的住所命名為「絳芸軒」,早起讓晴雯研墨,自書「絳芸軒」三字,囑咐 晴雯 貼於門斗。寶玉摔茶杯,要攆走 李嬤嬤 ,就發生在這裏。 となっている。 賈寶玉 搬進 大觀園 之前在賈府居住的房子。 初見於第八回、寶玉將自己的住...